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CHIHARU SHIOTA

I make my art not as a kind of therapy for internal anxiety,since in my case the fear is necessary to actually make art.
私は自分の中にある不安感を癒す為のセラピーとして作品作りをするのではなく、この不安と恐怖感は、私にとって制作をする上で不可欠な感情なのです。 

chiharushiota3.png塩田千春
1972年大阪生まれ ベルリン在住
2011年カリフォルニア・カレッジ・オブ・アート 客員教授
2010年 - 13年京都精華大学 客員教授
1999年 - 03年ベルリン芸術大学 在籍
1997年 - 99年ブラウンシュバイク美術大学 在籍
1996年ハンブルグ美術大学に入学
1993年 - 94年オーストラリア国立大学キャンベラスクールオブアートに交換留学生として留学
1992年 - 96年京都精華大学 在籍 洋画科卒業

ちょっとしたことで心が揺れ動く繊細な精神はわかり難く扱いにくいが、それだけにひとの存在の不思議さを思ってしまう。四日間の断食の後、土の上を素裸でころがる塩田千春の写真がある。※ さぞかし痛かっただろうとしか想像できないが、若さならではの反骨もあっただろう。しかし、見た限りかわいそうである。立ち直るには愛情が唯一の方法だろうが。自分が絵だと想定し赤い絵の具を全身に塗った写真もある。若い時はみんな向こう見ずである。しかし、そこに冷静に演出を試みる自分がいなければできそうにはない表現である。※
美術系雑誌に塩田千春のインタビュー記事がある。※ とらえどころない弱々しい表情の写真が掲載されている。重い患いがあった。疲れ果てたら顔にも出るだろう。言葉には尽くせないものがあるということは、それだけで説得力があるものである。三菱地所アルティアムの「塩田千春 / 他者である私」は、こぎれいな展示であった。服飾のファッションブランドのショウウインドウを眺めているような気分にもなった。うまくできた装置によって白いドレスに組み込まれた透明な管に赤い液体が入組みながら流されている。可愛らしくきれいであった。そして、その女のようである私とは一体何者なのかと、もう一人の私がすぐそばで見ているのである。※
幼いころ燐家で火事があり、その家のピアノが燃える光景は実に強烈な印象であった。ピアノもいつかは燃えてしまう。わたしの痕跡としてのピアノ。母親から、こんな時に弾かないでと怒られたが、今のうちにたくさん弾いとかなきゃ。走って家へ帰った。燃えるピアノ、朽ち果てたピアノ。美しいと思うのである。燃えるピアノと、それを弾くわたしはひとつ。恐怖は頂点にまで達する。わたしもいつか燃え朽ち果て消え去るのは確かであると思うのである。私はピアノが大嫌いだ。ピアノなんか燃えてしまえ。ピアノなんか、お母さん、おけいこごとは私は嫌だ。
過去であることが好きである。過ぎ去ってしまったことは、動かしようがない。そこに不安は見届けられないのである。クモの巣は、その時の時間の印にちがいない。そうであるならば、わたしにちょうだい。おねがい。過去の時間はやさしい。だって止まっているもの。なんにも気にしなくていい。わたしは身繕いをして髪を梳かしきれいなドレスを着るの。音のない旋律にあふれているわ。わたしはやわらかなベッドでやすらかに眠る。
毎月の生理の血液の写真がある。なぜかと問うてみたところで、男にはわかりはしない。もしわかるとするならば、男も女もいらない。
あらゆるところで窓がいっぱい出てくる作品がある。この着想には、救いや喜びがあるように思える。
祖母は土葬された。土葬されたら息ができない。わたしだったらどうしよう。窓をたくさん拾って来るしかないのである。わたしも埋められるのかしら。
やだ。空が見えて、空気がおいしくて。光がいっぱいの窓が欲しい。
ああ、みっともない。お洋服も泥だらけ。長く土の中にいたからきれいにしてあげたい。クリーニング店のお姉さんはだめだというかしら。だから、自分でシャワーかけて洗う。こんなもんかな。からだはボディシャンプーできれいになったけど、なんだか悲しい。そう思う。

※TRY AND GO HOME 1997 Domaine de Kerguehennec ,France.Performance after four days of fasting
※BECOMING PAINTING 1994 Australia National University of Canberra,School of Art Red enamel paint
※美術手帳 2008.09/ARTTIST INTERVIEW 塩田千春
※塩田千春 / 他者であるわたし展覧会。三菱地所アルティアム 2012.9.12-10.15
※画像は上から、IN SILENCE 2002, Akademie Schloss Solitude, Stuttgart, Black wool. burnt grand piano, forty burnt chairsTRAUMA/ALLTAG 2008 Studio,Berlin. Metal frame, dress, black thread
IN THE BATHROOM 2002, Berlin, Performance phtographs,
TRAUMA/ALLTAG 2008 Studio,Berlin. Metal frame, dress, black thread

<引用及び参考図書>
CHIHARU SHIOTA Published by Hatje Cantz
Verlag ,Zeppelinstrasse32,73760 Ostifildern,Germany.Printed in Germany



2015.7.14.

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